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わたしは北海道に住むmizoreと申します。機械と機械と機械が好きです。

ノア兄弟が売れているのは誰のおかげ?

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トヨタ自動車「ノア」「ヴォクシー」「エスクァイア」――。仕様によって少しはみ出して「3ナンバー」になることもありますが、いわゆる全長4.7×全幅1.7メートル前後に収めた、狭い日本の道路で扱いやすい「5ナンバーサイズ」を基本とし、全高1.8メートルを超える背の高さを武器にする背高ミニバンです。

3車は基本的なメカニズムを共有し、販売店によって車名を変える兄弟関係にあり、「ノア3兄弟」などと呼ばれることもあります。そのノア3兄弟が、近しいコンセプトの日産自動車「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」といった競合を押さえて、激戦と言われるミドルサイズ背高ミニバン市場で圧倒的な王者に君臨しているのです。

それはやはり今CMに出演しているガッキーのおかげでしょうか。

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いいですね。それはさておき、、、

19万を超える販売台数は、同ランキングで1位だったトヨタ「プリウス」の約14.9万台をも凌駕しています。プリウスは、レクサスを除くトヨタ4系列(カローラ店、ネッツ店、トヨペット店、トヨタ店)の販売店すべてで取り扱っていることから、ノア3兄弟と条件は同じです。ノア3兄弟はミドルサイズ背高ミニバンの王者というだけでなく、軽自動車を除いた普通乗用車で見ると、実質的なベストセラーカーともいえるのです。日本自動車販売協会連合会(自販連)がまとめた2017年度(2017年4月~2018年3月)の乗用車ブランド通称名別ランキング(軽自動車除く)によれば、ノア3兄弟は合計で19万2681台(ノア5万7668台、ヴォクシー9万1187台、エスクァイア4万3826台)を売販売しました。同時期にセレナが8万1005台、ステップワゴンが5万3665台だったので、ノア3兄弟は競合車種に2~4倍程度の差をつけたことになります。

もともとノア3兄弟の前を走っていたのは、ホンダのステップワゴンでした。1996年に登場した初代ステップワゴンがこの市場をつくったともいえるからです。

それまでの日本のワンボックス(1BOX)車は、エンジンを座席の下に置いて後輪駆動とする「キャブオーバー」と呼ばれるタイプが主流でした。対して初代ステップワゴンは車体前部(フロント)にエンジンを配置して、前輪を駆動する「FF(フロントエンジン・フロントドライブ)」方式を採用することで、床を低くしつつ四隅まで切り立ったボディデザインを実現したのです。

5ナンバーサイズで運転のしやすさを確保しながらも、床が低く四角を基調としたデザインによって、最大おとな8人が比較的ゆったり乗れること。さらには扱いやすく車両価格、税金、保険料が高くなりすぎない大きさのエンジンを搭載して、高速道路の走行にも余裕を持たせたこと。多人数乗車に重きを置く日本人ユーザーのニーズにガッチリはまったことが、初代ステップワゴンが大人気を博した大きなポイントだったといえるのです。

トヨタも日産もそんな初代ステップワゴンの成功をなぞって追いかけてきた歴史があります。日産はキャブオーバーだった「バネットセレナ」の後継車種として、ステップワゴンと同じFF方式にした「セレナ」を1999年に発売。トヨタも同じくキャブオーバーだった「タウンエースノア」「ライトエースノア」をFF方式に転換した「ノア」「ヴォクシー」を2001年にそれぞれ投入しました。

このあたりから、エアロ系をイチ押ししたこともあり、ヴォクシーのほうが人気で先行するようになっています。さらに現行モデルでは2014年にエスクァイアが加わって3兄弟となりました。ノア3兄弟でヴォクシーが最も売れているのは、トヨタブランド以外の他銘柄(他メーカー)車からの乗り換えが目立っているからだと言います。

昔は「カローラvsサニー」のような、メーカー同士でサイズやコンセプトが完全に被るような、「宿敵」とも呼べる車種をお互いに設定して販売を競わせたものですが、いまどきはそのような関係が成立するほうが珍しいです。ミドルサイズ背高ミニバンと軽自動車ぐらいとなっています。

ノア3兄弟が、このクラスをリードする背景には2014年の現行モデル登場時から、ハイブリッド車を先行してラインナップしてきたことが大きいです。

ホンダがステップワゴンに待望のハイブリッド車を追加したのは、ようやく昨年秋。日産セレナには「S-ハイブリッド」という仕様がありましたが、これはマイルドハイブリッドシステムと呼ばれ、発進時やアイドリングストップでの再始動時に、モーターをエンジンのアシストのみに使い、モーターの出力が小さい分、燃費改善効果も限定的だったのです。

一方、今年3月、日産はセレナに「e-POWER」と呼ぶ、エンジンが発電に徹することで実質的な電動駆動ができる仕様を追加しました。セレナ、ステップワゴンともにパワートレーンの面で、ノア3兄弟を追い掛ける態勢は整ったのです。

ただ、それでもノア3兄弟の優位はなかなか崩れそうにないです。

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ステップワゴンはハイブリッド車仕様を追加後に販売台数が伸びていますが、それでもセレナを上回るほどでもありません。「ホンダ販売店は売れ行き好調な軽自動車の『N-BOX』の販売に注力するあまり、ステップワゴンの拡販にはあまり手が回っていない」という声は自動車販売業界でよく聞きます。

日産「ノート」でも好評の「e-POWER」を搭載したセレナ。2018年3月単月ではヴォクシーを抜いたものの、日産販売店が自社登録によって需要を先食いしていたり、そもそもe-POWERの現状の生産能力には限りがあったりするなどといったことが、自動車業界でささやかれています。

そもそもノア3兄弟、セレナ、ステップワゴンはかなり近いコンセプトであり、初代ステップワゴンが登場したときのような商品力の圧倒的な差はつけにくくなっています。その点で、ノア3兄弟が有利なのはトヨタの持つ販売力の強さにあります。

ノア3兄弟はレクサスを除くトヨタ4系列すべてで販売されています(ノアはカローラ店、ヴォクシーはネッツ店、エスクァイアはトヨペット店、トヨタ店)。その拠点は5000店舗以上に上るとみられており、それぞれ2000店強といわれる日産、ホンダ系販売店を圧倒しています。新車販売にはなんだかんだで人海戦術的な要素がまだまだ残っている点からも、日産、ホンダがこのカテゴリーでトヨタを逆転するのはかなり難しい話なのです。

トヨタの販売現場では意外な話を聞くことができました。あるトヨタ系販売店のセールスマンが言います。

「確かに(ノア3兄弟の)現行モデルデビュー直後はハイブリッド車に注目が集まりました。しかし今ではハイブリッド車のほうが納車は早くなっていて、ガソリンエンジン車のほうが納車までに多少お時間をいただいております」

ハイブリッド車よりも普通のガソリン車のほうが人気はあるというのです。

その背景について前出のセールスマンに聞くと、「単純に同じグレードでガソリン車とハイブリッド車とでは50万円ほどの価格差(ハイブリッドが高い)があります。しかし実用燃費ではガソリン車が健闘していて、50万円をすぐに埋められるほどの燃費の大差はないんですね」。メーカーのウエブサイトを見ても人気グレードのトップはガソリンのX(8人乗り)となっています。

ノア3兄弟を買うようなメインユーザーは、「現役子育て世代」であり、所得のなかから少しでも多く子どものための費用にあてたいという心境が働きます。その世代にとって手元の50万円は大きいのでしょう。

このクラスでハイブリッド車を選択することは贅沢消費の側面があります。この点からもステップワゴンのハイブリッド車追加やセレナ「e-POWER」の投入が、ミドルサイズ背高ミニバンの勢力図に劇的な変化を与えるとは考えにくいのです。

なるほどハイブリットではなくガソリン車に流れるのはそういった背景があったんですね。ガッキーに少しでも還元されるのであれば、ノアを買ってしまいたくなりますね。

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